女性医師支援

現在、女性医師数は年々増加しており、厚生労働省の平成20年の調査によると、10年前より4%増加し、全体の18.1%となっています。特に、29歳以下では36.2%を女性医師が占めます。一方、仕事を中断(休職)、離職したことのある女性医師は39.2%で、そのうち7割において出産が契機になっています。その期間は1年~2年未満が18.3%ですが3年以上も10%を占めます。ですから、特に女性医師の妊娠・出産・授乳・育児時期における労働環境の整備が重要であることはすでにご存知のとおりです。

このような背景から、これからの日本の医療を充実していくには、女性医師が第一線で活躍していける体制を築くことが不可欠であり、すべての医師にとっての勤務環境につながると捉える必要があります。これまでは女性医師支援として、復帰支援と育児支援としての勤務体系の多様化、保育施設の整備などに重点が置かれていました。しかし、一度休職した医師が復帰するのには困難がともない、また休職している医師の把握も現状では難しいといえます。このことを踏まえ、現在は復帰支援から、休職や離職しないで勤務継続を可能にする継続支援への過渡期であると言えます。

女性医師の勤務先である病院はもちろんのこと、大学、自治体、医師会、学会はそれぞれ独自の支援を行うだけでなく、情報を共有しお互いに連携し実効性のある支援を展開していく必要があります。これから出産育児をする若い女性医師たちはぜひ産休や育休後は、休職・離職せずに、モチベーションを維持して続けて勤務してほしいと思います。産休・育休、就労形態に関しては産前から十分に考え、周囲に相談しておくことを奨励します。当講座でも妊娠初期からの支援を徐々に進めており、今後は学生~臨床研修~後期研修と一貫した支援体制づくりを行っていく予定です。

当講座では、秋田県内の女性医師が充分にその能力を生かし勤務をつづけられるようにサポートしていきます。

当講座が関る活動

秋田大学の女性医師支援活動

1) 短時間正職員制度・ワークシェアリング

秋田大学でも平成21年度から短時間勤務でも医員等として雇用する制度がスタートし、平成21度は3名、22年度は1名の医師が利用しています。

2) 病児保育室

平成22年4月に医学部敷地内にある保育施設に隣接して病児保育室(ことりのおへや)が開設されました。病児保育とは重篤な容態や伝染病でない子供を保育看護するというもので、保育士のほか看護師も常駐しており、ここでは附属病院小児科とも連携し診察も受けられるシステムになっています。

3) 女性研修医の副メンター制度

卒後臨床研修センターでは、全研修医にセンター委員を中心とした正メンターがついています。この他に女性研修医には女性医師の副メンターがつき相談にのっています。

4) 女子学生と先輩女性医師と語る女子医学生キャリアパス相談会

平成20年度から、5年次女子学生を対象に、大学病院で働く先輩女性医師と軽食をとりながら少人数のグループで進路相談ができる「女子学生と先輩女性医師と語る女子医学生キャリアパス相談会」を卒後臨床研修センターが中心となり行っています。大学病院における臨床実習中には聞けなかった進路選択について、また、家庭・育児とどう時間をやりくりしているのかなど、身近なロールモデルを多く見る機会となっています。平成22年度の医学教育学会で発表しましたが、各県の関係者からの反響も多く、他大学でも始めたというご報告も複数いただきました。

5)男女共同参画に関する講義のカリキュラムへの導入

平成22年度から、総合地域医療推進学講座3年次講義として、全国に先駆けて、女性医師支援総論や実際の問題解決を討論するワークショップ、外部の講師の先生の講演をカリキュラムに1日組み込んでおこないました。将来のパートナーや同僚となる男子学生にも問題意識をもってもらうことや、男子学生、女子学生とも向上心を持って今後のキャリアや将来像について考える機会を作ることを目的としています。

県内の女性医師支援

1) 秋田県の女性医師対策については、主に健康福祉部医務薬事課医師確保対策室が女性医師支援をサポートしています
  • 女性医師再就職支援研修事業
  • 女性医師相談窓口
  • 女性医師講演会を開催
  • 女性医師プロジェクト会議に参加
  • 女性医師アンケートの実施

などをおこなっています。

2) 秋田県医師会の女性医師支援対策

平成20年秋田県医師会にも女性医師委員会が設立され、管理者(病院長など)への啓蒙をはかる講演会や女子医学生・研修医をサポートする会をおこなっています。
平成23年度は日本医師会男女共同参画シンポジウムが秋田にて開催予定であり、秋田医師会女性委員会と勤務医委員会よりなる実行委員会にて企画実行される予定となっています。
当講座の蓮沼が女性医師委員会委員長として活動しています。